スタンホペアという変わった洋ランをご存知でしょうか?
下垂する花や巧みな受粉構造、花はエレガントではなく、
エキゾチックワイルド。その辺には売ってない。
今回は変わった洋ラン、スタンホペアの育て方や植え替え方法、
どんな種類があって、構造にどんな特徴があるのか深堀りしていきます。
特徴
ラン科 スタンホペア属 Stanhopea
原産はメキシコ、ブラジルにかけての中南米を中心に約55種類が知られている。
常緑の着生ランで樹上に着生する。
比較的大きな花を咲かせますが、この花が変わっていて、
花茎を下に伸ばし下垂して咲きます。
このため穴大きく開けた植木鉢やバスケット(かご)などを使って栽培しなければならないのです。普通の鉢で育てられる種類もある。
花は1週間前後で枯れてしまうので洋ランにしては短く、
香りも臭いのに強い。 葉は大きめの葉を1枚卵型のバルブから出す。
開花期は主に夏。
花が咲く姿や形が他のランとは変わっているのが特徴的なんですが、
花の受粉する仕組みが戦略的に進化した植物なので面白い。
受粉の仕組み
1.花の匂いで誘われた昆虫が来る。
2.花の中に進んで行くと、臭い匂いで足を滑らす。コケる。
3.滑って落ちてくる虫をずい柱という器官が受け止めてくれる。
4.その時に虫の背中に花粉が付着
5.花粉を付けた虫が別の花で滑り落ちると今度は
受け止めたずい柱に花粉が付き受粉完了となる
シタバチ類のオスがスタンホペアに引き寄せられるんですが、
日本には生息していないため、この仕組みを見ることはできない。
特定の虫を呼ぶ植物ってすごいですね。
種類
スタンホペア・ティグリナ(Stan. tigrina)
スタンホペア・オクラタ(Stan. oculata)
スタンホペア・ワーディ(Stan. wardii)
スタンホペア ・ジェニスチアナ (Stan. jenischiana)
スタンホペア・エコルヌタ(Stanhopea ecornuta)
この中ではティグリナが流通量が多い気がしますが、もともと
マニアックな洋ランのため、見つけるのに苦労しますね。
東京で毎年開催されている世界洋ラン展に足を運んでみると
見つかるかもしれません。
育て方
置き場所
最低気温が15℃以上になる5月~10月いっぱいは屋外で育てます。
寒さには弱いので15℃以下を目安に室内へ取り込む。
やや明るい場所、もしくは半日陰ぐらいの場所が適しています。
夏場は50%ほどの遮光をします。葉焼けするようなら70%。
葉が黄色なってきたら日差しが強すぎるので場所を変えて見ると良いです。
手遅れでなければ、黄色から緑の葉に戻ると思います。
開花するようなサイズのものは花茎が下から出てくるので、
吊り下げて栽培する。
水やり
水を好むランです。セロジネと似ている水やりかなと私は思っています。
新芽が出てからの成長期は水を切らさないように乾きかけたら
水やりします。環境にもよりますが夏は毎日必要になる。
特に花芽が伸びてきたら水分を必要とするので
乾かさないように水やりしましょう。
バルブにシワが入るようなら水不足の可能性ありなので
水やりの回数を増やして様子を見ます。
冬は成長しないので水やりの回数は減らしますが、
完全に植え込み材の水苔が乾かさない方がいいという意見もあるので
様子を見ながらですね。
自分のスタンホペアは乾かし過ぎたりしていますが、
枯れることはないので、冬はあまり水やりしない程度の認識で
いいのではないでしょうか。
肥料
固形肥料や液体肥料を定期的に施肥します。
成長期に肥料でしっかりとバルブを成長させて
花付きを良くします。
植え替え・植え付け
鉢底をくり抜いた素焼き鉢か木枠のバスケットが多く使われる。
植え付けはミズゴケを使います。
素焼き鉢はプラスドライバーを底に当ててカナヅチでコンコン叩いてやると
簡単に削れて穴を広げることができます。
花芽が下から出ることを考慮したものであればOK!
植え替え方法
今回は木枠のバスケットの横から新芽が出てきてしまったので
植え替えをしてみようと思います。
品種は、 『Stanhopea tigrina var. nigroviolacea ‘Predator’ FCC/AOS』
スタンホペア ティグリナ ニグロヴィオラセア ‘プレデター’
植えてから3年ほど経つかと思いますが、水苔がカスカスです。
植え替えて正解でした。
少し株が大きかったので株分けをしたら、3株になりました。
素焼き鉢に植えるのでこんな感じで、底の穴を広げてあります。
根っこの周りに適量の水苔を巻いて押し込んで鉢から抜けない硬さに
なるようにします。
木枠のバスケットに植える場合ははじめに少し水苔を入れ、
その後植え付けています。
固めに水苔を入れにくいですが、
横から水苔を詰めていく感じでいれると上手くできるかなと
思います。 上から水苔を押し込むのはやめておいたほうがいいです。
根っこが痛みますね。
着生ランなので、意外とだいたい植えてあれば育ちます。
チャレンジしてみて下さい!
まとめ
・花は下垂して咲く
・花は下垂して咲き、花の構造が虫を呼び込み強制的に
受粉させるようなシステム
・種類は多いがマニアックな洋ランなのであまり流通しない
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!